カリフォルニア州を始めとして、全米で10の州と1つの地域では娯楽用の大麻(マリファナ)が合法化されています。そのような州では、マリファナの主成分の1つである、カンナビジオール(Cannabinoid,「CBD」と略されることが多い)が入った食べ物や飲み物を扱う店をよく見かけるようになりました。

それを後押しするように、CBDの摂取が精神的なリラクゼーションを与えるだけではなく、筋肉の炎症を軽減する、スポーツへのモチベーションを高める、競技パフォーマンスを高める効果もあるというような調査結果も次々と発表されています。

その一方で、米国でも連邦レベルではマリファナは未だに違法ですし、現在のところ医療目的以外でCBDを合法的に入手できない州の方が多数です。世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は2018年1月に条件付きでCBDを禁止薬物リストから外しました。このように過渡期にあると思われるCBDの利用については様々な誤解や混乱が生じています。

CBDは万能サプリメントか?

もともとマリファナが合法化されてきたのは医療目的が最初でした。CBDに以下のような医学的効果があることは多くの学術調査によって証明されています。

  • 不安や緊張感を和らげる
  • 痛みを和らげる
  • 炎症を抑える
  • 安眠を助ける
  • 筋肉の張りを軽減させる

つい最近のことですが、CBDを摂取するとエクササイズのモチベーションが上がり、さらには運動中のパフォーマンスを上げ、回復も早まるという驚くべき調査結果をコロラド大学ボルダー校の研究グループが発表しました(*1)。

この調査では娯楽用のマリファナが合法化された5つの州から600人以上の男女を対象に様々な聞き取り調査を行いました。その結果、80%以上の人がエクササイズの前後にマリファナを摂取し、さらにそのうちの70%の人がエクササイズがより楽しくなったと答え、78%が回復が早まり、52%がモチベーションが上がったことを自覚しているとしています。

CBD イコール マリファナか?

こうした効能だけを見るとまるで魔法の薬のようですが、日本を含め世界中の殆どの地域でマリファナが違法薬物とされてきたのは、CBD以外の主成分であるテトラヒドロカンナビノール(Tetrahydrocannabinol,「THC」と略される)に酩酊作用があり、人を陶酔状態にするからです。

大ざっぱに分類すれば、マリファナには主な有効成分にCBDとTHCがあり、CBDに医学的効果、THCに麻薬的作用があるということです。

CBD とTHCの比率はマリファナの種類によって異なりますが、一般的にはCBD比率が高いものは医薬品に近く、THC比率が高いものほど違法薬物のイメージに近づきます。

  • 高CBD、低THC  (CBD 5-20%, THC <5%)
  • 中間 (THC とCBD共に5-15%)
  • 低CBD、高THC(CBD <5%, THC 10-30%)

ヘンプ(hemp)と呼ばれる植物はマリファナと同じアサ科ですが、CBD含有率が高く、THCの含有率が低い(ゼロではない)ので、CBD製品によく使われています。

CBDは合法か?

それならマリファナやヘンプからCBDだけを抽出して、THCを除けば、何の問題もないような気がしますし、実際に米国の多くの州で「THCを含まない医療大麻は合法」としています。

ところが、元々はCBD もTHCもアサ科の自然植物に含まれている成分です。技術的に完全に分離することは難しいのか、あるいは分離してしまうと売れなくなるからなのか、その理由はよくわかりませんが、CBD製品として売られているものの多くには実はTHCも含まれています。ノンアルコールビールには1%以下のアルコールが含まれていますし、デカフェ・コーヒーにも少量のカフェインが含まれていることと事情は多少似ているかもしれません。

THCが含まれている製品でも娯楽用マリファナが合法である米国の1部の州やカナダでは問題ありません。しかし、それをマリファナを禁じている他の州や国に持っていけば、薬物法違反になってしまいます。勿論、日本もその1つです。周知の通り、日本でのマリファナ所持や輸入は懲役を含む重罪となりますので、細心の注意が必要です。

CBD摂取はドーピングか?

前述しましたように世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は2018年1月にCBDを禁止薬物リストから外しました(*2)。その為、オリンピックを目指すアスリートもCBDを摂取してよいことになりました。

但し、THCは依然として禁止薬物に指定されています。WADAは製品のTHC比率が0.3%以下でなければけないとしています。

ところが、CBD製品の多くはTHCの含有量をラベルに表示していませんし、また表示してあったとしても必ずしもその数字が正しいとは限りません。100%CBDだと思って信じて摂取したら、ドーピング検査でTHCが検出された、なんてことになれば、有無を言わさずに違反となってしまいます。

CBD製品を試すには?

このように微妙な法律上の問題があるためだと思われますが、ネットショップ最大手のアマゾンではCBD製品を取り扱っていません。フェイスブックやグーグルでもCBD製品の広告は禁止されています。

マリファナが合法化されているカリフォルニア州でも、例えばスーパーマーケットの棚にCBD製品やマリファナ・タバコが並んでいるというわけではありません。

CBD製品を購入するにはDispenser と呼ばれる専門店に足を運ぶのが一般的な方法です。飲み物や食べ物に含まれていたり、オイルや塗り薬などCBD製品には様々な形態があります。棚から商品を自由に手に取れることはあまりなく、化粧品のように対面販売が多いようです。

下のペットボトル水が5米ドル程度(約550円)、4個入りのガム状のサプリメントが10米ドル程度(約1100円)です。これを高いと思うか安いと思うかはその人次第ですが、筆者自身は日常的に使用したいとは思いません。これでもオリンピックを目指しているので、ドーピング違反の危険を冒したくないからです、というのは勿論嘘です。単純にそれほどのお金を払う価値があるとは思いませんし、元々ストレスとは無縁のお気楽な生活を送っていて、たっぷり睡眠も取れていますので、とくにCBDを必要とはしていないからでもあります。

INFORMATION

*1:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpubh.2019.00099/full

*2:https://www.usada.org/2018-prohibited-list-summary-of-major-changes/

[筆者プロフィール]

角谷剛(かくたに・ごう)

 

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