鼻炎や花粉症の方は、市販の鼻炎薬を服用することもあるのではないでしょうか。市販の鼻炎薬の中には、競技会検査で使用が禁止されている「プソイドエフェドリン」を含むものがあるため注意が必要です。アンチ・ドーピングのために注意すべき市販薬として、鼻炎薬をテーマに取り上げます。

アンチ・ドーピングの基礎知識

ドーピングの禁止薬物については、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が毎年1月1日に「世界アンチ・ドーピング規定禁止表国際基準」を発表しています。今までは禁止薬物ではなかったものでも、来年からは使用不可になることもあります。ドーピングの禁止薬物については、必ず最新の情報を確認するようにしてください。

なお、この時期は2019年の禁止表を基に作成しています。そのほかアンチ・ドーピングの基礎知識については、『薬剤師が解説!うっかりドーピングを防ぐための基礎知識』も参考にしてください。

注意すべき鼻炎薬

鼻炎薬は鼻のアレルギー症状を抑えるものであり、鼻炎はもちろんのこと、鼻風邪をひいたときや花粉のシーズンでも服用する人が多い薬です。またアレルギー症状を抑える働きがあるため、鼻炎以外でも皮膚のかゆみがあるときに病院で処方されることもあります。

禁止薬物が含まれる市販の鼻炎薬

競技会(時)の禁止薬物として指定されている鼻炎薬の成分としては、「プソイドエフェドリン」があります。プソイドエフェドリンを含む市販薬には、以下のようなものが挙げられます。

プソイドエフェドリンを含む市販の鼻炎薬(例)

  • パブロン鼻炎カプセルSα(大正製薬)
  • 新コンタック600プラス(グラクソ・スミスクラインCH)
  • エスタック鼻炎カプセル12(エスエス製薬)
  • プレコール持続性鼻炎カプセルLX(第一三共ヘルスケア)

またこのほかにも、鼻風邪や花粉所の症状で使用される漢方「小青竜湯」には、禁止薬物である「麻黄(マオウ)」が含まれます。

製剤の違いによる禁止薬物の有無に注意

似たような製品名でも、製剤の違いによって禁止薬物が含まれている場合があるため、注意が必要です。

鼻炎や花粉用の薬である「アレグラ」は、医療用だけでなく市販薬もあります。アレグラは競技会中でも使用できますが、医療用医薬品でアレグラと同じ有効成分を持つ「ディレグラ」は、禁止薬物であるプソイドエフェドリンを含んでいます。有効成分が同じだからといって禁止薬物の有無が共通しているわけではないので、この点は注意しましょう。

またグラクソ・スミスクラインCHの「コンタック」シリーズは、「コンタック600ファースト」は使用可能ですが、「新コンタック600プラス」には禁止薬物であるプソイドエフェドリンが含まれています。

アンチ・ドーピングに関しては、製品ごとに禁止薬物が配合されていないか確認することが肝心です。

鼻炎薬スプレーの局所使用はOK

鼻炎薬には、口から服用するもののほかにも、鼻の粘膜に直接スプレーするタイプのものがあります。市販の鼻炎薬スプレーには、「ナファゾリン」をいう成分を含んでいるものが多く、佐藤製薬の「ナザール」シリーズや第一三共ヘルスケアの「エージーノーズ」シリーズなどが該当します。

ナファゾリンは、鼻の粘膜に局所で使用する分にはドーピングで制限されていません。しかし何回も使用して血液から体内に吸収されると、ドーピング違反が疑われる可能性があります。

またこのナファゾリンは、鼻の通りをよくする即効性は高いですが、乱用すると逆に鼻炎の症状を悪化させてしまいます。このことからも、ナファゾリンを含む鼻炎スプレーは添付文書に記載されている用法・用量を守り、くれぐれも使い過ぎないように注意してください。

使用できる市販の鼻炎薬

プソイドエフェドリンやマオウを含んでいない、アスリートでも使用可能な市販の鼻炎薬の一部を紹介します。このほかにも使用できる鼻炎薬もあるので、不明な点はアンチ・ドーピングに詳しいスポーツドクター、またはスポーツファーマシストにお尋ねください。

<使用できる市販の鼻炎薬(例)>

有効成分名 商品名(例) 販売元
ケトチフェンフマル酸塩 コンタック600ファースト グラクソ・スミスクラインCH
ザジテンAL鼻炎カプセル グラクソ・スミスクラインCH
ヒストミン鼻炎カプセルZ 小林薬品工業
エピナスチン塩酸塩 アレジオン10 / 20 エスエス製薬
フェキソフェナジン塩酸塩 アレグラFX / FXジュニア 久光製薬
セチリジン塩酸塩 コンタック鼻炎Z グラクソ・スミスクラインCH
メキタジン ストナリニ・ガード 佐藤製薬
クロルフェニラミンマレイン酸塩 アレルギール錠 第一三共ヘルスケア
ペミロラストカリウム アレギサール鼻炎 田辺三菱製薬

使用できない市販の鼻炎薬は把握しておくこと

ひどい鼻炎や花粉症の人にとっては、鼻のアレルギー症状を抑えてくれる鼻炎薬は手放せない存在でしょう。しかし市販の鼻炎薬の中でも、禁止薬物であるプソイドエフェドリンやマオウが配合されている場合があるため注意が必要です。うっかりドーピングを防ぐために、使用できない市販の鼻炎薬については今一度確認しておきましょう。

ライター 大月 萌

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