ランニングは健康に良いと言う一般のイメージに反して、実はとても故障のリスクが高いスポーツです。下は2007年と少し古い論文ですが、日常的にランニングをする人が1年以内に何かしらの故障で走れなくなる時期が来る確率を最大で79.4%だとしています。

 

Incidence and determinants of lower extremity running injuries in long distance runners: a systematic review.

Van Gent RN. et al., 2007

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17473005

 

コンパートメント症候群が起こるわけ

一言で故障と言っても様々な症状や要因がありますが、その中でも長距離ランナーに多く起こるとされているものの1つがコンパートメント症候群です。脚の筋肉は膜のようなもので4つの区画(コンパートメント)に分かれていて、これらの区画よりも筋肉が膨張してしまうと、走るときに痛みが生じることを呼びます。筋肉を区画ごとに分けている膜は一定以上広がらないのだそうですが、区画の中にある筋肉が腫れることによって、神経や血管が圧迫されて様々な症状を引き起こすのだと言うことです。

 

コンパートメント症候群にかかってしまうと、治すには冷却やマッサージなどの対症療法しかありません。休めば治ると言われても、ランナーは走りたいから走るのであって、走ることができないのであれば有効な対策とは言えません。やっかいな故障なのです。罹ってから治すより、罹らないように予防できれば、それに越したことはありません。

 

フォアフット・ランニングがコンパートメント症候群を予防する?

ランニング・フォームをフォアフット・ランニングに変えることによって、コンパートメント症候群を予防することができるとしたのが下の論文です。

EFFECTS OF FOREFOOT RUNNING ON CHRONIC EXERTIONAL COMPARTMENT SYNDROME: A CASE SERIES.

Diebal, A. et al., 2011

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3230159/?fbclid=IwAR2n5NFHB1sjz6l7NMKpiUrZqlCbo4brgQ1UTauqn5G8DiHIrbuPpNfNkuw

 

この研究は過去にコンパートメント症候群を発症したことがある2人のランナーを対象にして、ランニング・フォームをフォアフット・ランニングに変えてもらい、7か月に渡って経過観察をしたケース・スタディです。論文では、2人とも7か月後には痛みが消えて、故障する以前より長い距離を走っても痛みが再発しなくなったという結果が報告されています。

 

たった2人という少ないサンプル数ですので、これをもってフォアフット・ランニングがコンパートメント症候群を予防するという結論に飛びつくのは少々危険ですが、少なくとも参考にはなるでしょう。

フォアフット・ランニングとは文字通り足のつま先側から着地する走法です。多くのエリート・ランナーがこの走り方をしていることが知られていますので、競技ランナーの中でも試したことがある人は多いのではないでしょうか。

競技ランナーではなくても、健康やダイエットのために走る市民ランナーにも人気のあるメソッドにはチー・ランニング、裸足ラン、ポーズ・メソッドなど様々なものがありますが、これらは踵への着地衝撃を和らげるために、フォアフット・ランニングを促進していることで共通しています。

速くなるだけではなく、故障リスクも減るとすれば、フォアフット・ランニングには試してみる価値がある、と思うのですが如何でしょうか。

 

角谷剛(かくたに・ごう)

コメント一覧

コメントはありません

コメントする

コメントを投稿するにはアカウントを作成し、ログインしている必要があります。