運動をするにあたって重要なのは運動をする負荷や運動のメニューだけではありません。環境的な要因も大きな影響があります。同じパフォーマンスでも記録を残すのに、適した条件は体のコンデイションだけではありません。運動をする外的要因もあります。運動を行う環境によっては同じパフォーマンスをしても結果が出ないこともすくなくありません。今回はその中でも大きな要因になる気温による体の冷えとパフォーマンスに関する論文を紹介します。

耐寒性と運動パフォーマンスに対する寒冷ストレスの影響

最後に、寒い環境で運動している場合や住んでいる場合の耐久性と身体パフォーマンスに対して与える影響に関する研究です。

そもそも人間は低温に住んだ場合、生理的な反応の特徴としては、身体パフォーマンスの低下、酸素を取り込む力の低下反応がでます。

 

その原因は運動によって筋肉が冷えてしまうことで発生します。筋肉が冷えると、心臓へ運ぶ血液の温度低下に伴い代謝も低下します。季節によって、人間の基礎代謝が変化するのはこのためです。その結果、筋肉の温度の低下によって寒さに対する抵抗力と伴に、元々持っている筋力を発揮する力も落ちてしまいます。そのため、寒さに暴露することで、筋肉は適温とされている温度よりも、強度や持久力と言った元々持っている力を発揮できなくなります。血管収縮や震えが起こるのはこうした状況を改善し、体内のストレスを減らすために起こる反応です。

 

寒い環境で運動すると鍛えられるのは嘘で、本来の室温の温度に比べて寒い外気環境にいる場合は筋力が著しく低下し代謝低下が起こります。運動を外でしていても、震えや収縮による末端の冷えが起こった場合は休憩を挟むことが大切です。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/cphy.c140081

クロスカントリースキーにおける服装と持久力パフォーマンスに対する周囲温度の影響

最初に紹介するのは、寒冷地ノルウェーで行われた研究です。クロスカントリースキーを同じコースで行う際に、気温の温度差によってパフォーマンスの違いや体の影響に関して、同じ被験者を用いて疲労に関するテストを行ったものになります。

 

気温の条件は、超低温の-14℃と-9℃、低温-4℃と1℃、中温10℃もしくは室温の20℃で行われました。計測値は有酸素運動の効果の目安になる、最大酸素消費量、消耗までの時間、乳酸値をメインに測定を行いました。

 

被験者が9人のクロスカントリーのアスリートでどの条件も同じ被験者です。部屋は風速5msの風がある環境下の元10分間のウォームアップの後に最大酸素消費量になる強度で5分間負荷がかかった運動を行った結果を比較しました。

 

まずはランニングエコノミーですが、温かい環境の方がフォームが崩れやすいという結果が出ました。疲労の度合いを示す乳酸閾値は、-4℃が高い結果となり運動をして体力の消耗を感じ始めた時間は、-4℃や1℃が高い結果になりました。

クロスカントリースキーレーシングスーツを着用した場合の最適な有酸素持久力パフォーマンスは-4および1°Cが最適という結果になりました。

ランニングウエアなら10℃から20℃ぐらいが最高にパフォーマンスが良いということになります。もし寒い中でも走ることを考えているなら、クロスカントリーの用の装備が必要ということになります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22426577

寒冷環境により女性サイクリストでの乳酸閾値に及ぼす影響

運動によって乳酸の溜まり方が気温によって変化するなら、運動選手、特に寒さでトレーニングや競技を行う選手にとって非常に重要です。そのため、乳酸産生および/またはクリアランスの変化は、血中乳酸濃度および計算された乳酸閾値の変化は、運動の質に大きな影響を及ぼします。

年齢は37歳37±5.歳、体重:60.08±8.93kg、7人のサイクリストでトライアスロンを行う選手で、事前のウォームアップの有無関係なく、乳酸の閾値に関する影響を調べました。

運動を行う気温の条件は、室温(20ºC)、低温(0ºC)でなおかつ2条件で25分のウォームアップありとなしという3つの条件です。参加者は乳酸閾値テストを実施し、その後、参加者のピーク出力の120%で疲労するまでの時間を試しました。心拍数(HR)、深部体温、皮膚温度、血中乳酸濃度、を中心に測定しました。

その結果、寒い環境で運動する女性のサイクリスト/トライアスリートの場合、25分間のアクティブなウォームアップをやめると、本番のパフォーマンスが良くなります。

乳酸閾値でのパフォーマンスとピーク出力の比率を計算すると120%消耗時間を改善できるようです。結論をいうと、準備運動をしすぎるとかえって本番のパフォーマンスの質が落ちる可能性があるため、適度な準備運動を考える必要があります。

 

運動をして体を温めることは大切ですが、低温の場合はやりすぎは禁物です。飲み物や服装で調整することがパフォーマンスの質を上げることになります。この結果は女性のアスリートの結果ですが、男性にとっても参考になる結果です。

https://diginole.lib.fsu.edu/islandora/object/fsu%3A653475/

まとめ

冷えは人間の体の筋肉に与える影響が大きく、適切な温度環境で運動した場合と比べて大きな差が出ます。冷えがあると筋肉の本来のパフォーマンスが低下し、基礎代謝への影響やダメージがあるのが特徴です。

運動をする際には運動強度にあった装備を着用し、体の筋肉への震えやこわばりがない状態に整えることが大切で、ウォームアップと称して軽めの運動をした場合は本番のパフォーマンス低下になるケースがあります。

 

ライター

辻 文音

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