2020年が明けました。今年こそはフルマラソンに挑戦してやろうと張り切っている人もいるのではないでしょうか。そんな人には耳寄りな情報がアメリカ心臓病学会誌1月号に発表されました。CNNなど大手メディアでも紹介されて、大きな話題を呼んでいます。

 

この論文では、初めてフルマラソンを走るためのトレーニングをすると、加齢による様々な体内の劣化現象を逆行させることができる、つまり若返ることができるとしているのです。

 

Training for a First-Time Marathon Reverses Age-Related Aortic Stiffening.

Bhuva, A. et. al., 2019

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S073510971938369X?via%3Dihub

 

老化現象を逆行させる効果

論文著者らは生まれて初めてロンドンマラソンを走った138人の健康な男女を追跡調査し、彼ら彼女らの「血管年齢」が4年間も若返ったことを発見しました。さらにはマラソンのトレーニングをすることで加齢によって起こる主動脈硬化を逆行させ、血圧を下げる効果があるとも述べています。

一般的には、私たちが年齢を重ねるうちに、酸素と栄養素を内蔵に運ぶ動脈の壁が厚く、そして硬くなり、体内に血液を送り出す心臓のパンプ作業が難しくなります。これは避けられない 老化現象ではあるのですが、その程度が進むと心血管疾患、認知症、腎臓病の原因にもなるそうです。

ところが、この論文では、この避けがたい老化現象である動脈硬化の進行をわずか6か月のトレーニングで逆行させることができるとしているのです。この驚くべき効果はランニング初心者において顕著で、特に中高年男性のタイムが遅いランナーたちにもっとも大きいのだそうです。このグループは元々の血圧が高い傾向があるからと見られています。

 

マラソン初心者ほど大きな恩恵

研究対象になったのは2016年と2017年のロンドンマラソンに初めて参加した21歳から69歳までの健康な市民ランナーです。男女の性別はほぼ半々でした。調査はレースの6か月前から始まり、レースの3週間後まで追跡調査が行われました。

ランナーたちのトレーニング方法については特に指定はされませんでしたが、ガイドラインとして推奨された初心者用プログラムは、週3回のランを17週間に渡って、徐々に強度を上げていく構成でした。

トレーニング期間が進むにつれて、ランナーたちの血圧が減少し、大動脈の硬化が減少されていくことが発見されました。

こうした健康効果はレースのタイムの良し悪しとは相関関係は認められませんでした。ちなみに研究対象となったランナーの男性平均タイムは4時間半、女性は5時間20分でした。市民ランナーとしても遅い方の部類に入ります。

 

まとめ

初心者がマラソン完走を目指して6か月トレーニングを積むことで若返ることができる。論文著者らはこう結論し、また運動の種類はランニングに限らないであろうとも述べています。この健康効果はどれだけ持続するのか? ランニングの強度が上がるとどうなるのか? 不明な部分はたくさん残っていて、今後のさらなる研究が望まれますが、その前に自分の体で試してみるのも良案ではないでしょうか。

 

角谷剛(かくたに・ごう)

コメント一覧

コメントはありません

コメントする

コメントを投稿するにはアカウントを作成し、ログインしている必要があります。