運動をするにあたって、良く言われるのが呼吸法!!健康に良いのはどっち?と聞かれて何気なく、鼻呼吸が良いと答えていませんか?実は、口呼吸と鼻呼吸では運動をする上でも、具体的な効果があります。今回は、その効果とその根拠に関して解説します。

呼吸によって運動におけるメリットの違いとは?

まず紹介したいのは、呼吸によって運動中どのような変化が起こるかに関してです。一般的に運動における呼吸の効率は、呼吸のリズムと取り込んだ空気の気道の違いによって、変わってきます。一般男性11名と長距離走者9名で、正常呼吸・口呼吸・鼻呼吸と分け、一般男性の方は自転車のエルゴメーターを毎分50回転速度で負荷調整しつつ限界まで踏ませ、長距離走の場合は1500m走を行いました。測定したのは心拍数や換気当量、酸素摂取量の数値です。

 

その結果、運動の強度が増すごとに、心拍数は増加し、酸素消費量は増加しました。運動の強度によって疲労が増加したため酸素消費量が必要になりました。ですが、体内に入った空気を外に吐き出す換気量に関しては口呼吸、酸素消費率は鼻呼吸が優れていました。一回で吸った空気の酸素を効率よく消費するには鼻呼吸が優れているという結果です。しかし、ランニングや有酸素運動においては、より多くの空気を体内に取り込み消費するほうが良いため、必然的に口呼吸となります。

逆に鼻呼吸で運動をした場合は、エルゴメーターや運動強度テストをした場合で悪い成績が出たのは、負荷強度に対する酸素の効率的な取り込みを考えると良い結果が出ないという結論から導き出されます。

 

つまり、必然的に酸素が必要となるから口呼吸になるので、有酸素運動で口呼吸になるのは良いメリットがあり、無理に鼻呼吸をする方がデメリットが大きいのです。

 

https://gair.media.gunma-u.ac.jp/dspace/bitstream/10087/489/1/area013029.pdf

 

シャトルの走行中に鼻呼吸を制限する効果

実際に有酸素運動と鼻呼吸は相性が悪いのでしょうか?20mのシャトルランを行ったことによってどのような体の変化が出るのかを調べました。10名の健康な男性が2種類の条件の距離や負荷設定したシャトルランを行い、ノーズクリップありとなしの4条件を片方即位後5~7日開けて行いました。計測項目は、心拍数、シャトルシーケンスの完了時に知覚される労作(RPE)の速度、競技前と競技後で行う乳酸および呼吸機能の測定値になります。

 

その結果、ノーズクリップをつけると一見空気を吸う量が増えますが、それは表向き増えただけで、つけていない場合でもさほど数値に変化が無いことがわかりました。つまり、鼻から息を吸う量が増えても、意味が無いのです。距離が長い運動強度のものでも差が無いのです。

 

前の論文とセットで考えるとノーズクリップを使用するよりも、口呼吸に切り替えて運動をしたほうが、結果が出やすいということなのです。

鼻呼吸は、口呼吸と比較したメリット

運動で口呼吸をしたくても、どうしてもできない人もいます。運動をして、気管あたりが痛くなる症状が出る方もいます。運動性誘発性喘息と呼ばれるもので、急な有酸素運動をすると呼吸が上手くできなくなる症状です。そんな人は、口呼吸よりも鼻呼吸が向いています。運動性誘発性喘息は、外気と体内の空気の温度差によって交感神経が過敏に働き、気管周辺の筋肉が萎縮し、気道が狭くなることで発生します。鼻呼吸の場合は外気が気管に届くまで距離があるため、空気が温まるのと湿気が与えられるので、喘息がおこらないとされています。

 

実験対象は18〜55歳の20人の被験者(男性11人、女性9人)が被験者で、喫煙歴やポリープと言った事前疾患はありません。

口および口と鼻の呼吸と比較した、鼻のみの呼吸での最大換気の減少率は、最大酸素消費の減少率の3倍という数値でした。最大作業時の鼻のみの呼吸のパターンは、一回換気量の小さな減少と呼吸頻度の大きな減少という結果でした。つまり、鼻呼吸の場合は、一回に吸う空気の量が増えるので、呼吸頻度が著しく減ります。ですが、運動の種類で呼吸を必要としない強度のトレーニングを行った場合は、十分な負荷として耐えることができ、達成することができました。

 

一定の運動強度までは鼻呼吸のみでも十分運動のメリットを受けることができるということです。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8599744

 

まとめ

鼻呼吸は、口呼吸に比べて一回に吸う空気の量が多く加えて、気管周辺の交感神経を過敏にしないため、体に優しいとされています。実際に運動時に、呼吸がしにくくなる病気の運動性誘発性喘息の発生を抑えます。

 

ですが、鼻呼吸と口呼吸を比較すると運動強度が一定以上の負荷がかかる有酸素運動の場合は、一回の呼吸で空気を入れ替える量が多い口呼吸の方が結果が出やすいという事実があります。これは、鼻から息を吸う量を増やすとされるノーズクリップを使用した場合でも、なしと差が出ないことから、口呼吸の方が酸素の換気効率が良く、多くの新鮮な酸素を交換できるから、結果が良いという結論になります。

 

鼻呼吸で運動をする場合は、運動の強度を調整しつつ、時間を長時間にすると言った工夫が大切になります。

 

辻 文音

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