私が専門とするクロスフィットでは10種類の基礎的身体能力というものを定義して、それらすべてを満遍なく向上させることを目的としています。すなわち、心肺持久力、筋持久力、最大筋力、柔軟性、パワー、スピード、連動性、俊敏性、バランス、そして正確性です。

とは言っても、これらすべてを一度に鍛えることは不可能です。身体トレーニングには「特異性の原理」と呼ばれるものがあります。1つのトレーニングで期待できる効果は1つしかないという意味です。そのため、クロスフィットでは毎回異なるトレーニングメニューを組み合わせます。

どのような筋トレを行うにしても、そのターゲットを常に明確にする必要があります。あれもこれも伸ばそうとするのは、どれも中途半端な結果になってしまう恐れがあります。

それでは、器具や設備に制限がある自宅の筋トレでは何をターゲットに選ぶべきか? が今回のテーマです。

高重量低回数は最大筋力を高め、低重量高回数は筋持久力を高める

上に挙げた10種類の基礎的身体能力のうち、主に筋トレで向上させることができるのは筋持久力、最大筋力、パワー、そしてスピードでしょう。筋トレは他の6つに対して効果がまったくないというわけではありませんが、これらをメインの目的にするにはトレーニング方法としては適していません。

筋肉が発揮する能力をさらに大きく分けるとすれば、より重たいモノを持ち挙げる最大筋力か、より多くの回数やより長い時間の運動を持続させる筋持久力か、になります。筋トレを行うときは。そのどちらを鍛えるのかを常に意識する必要があります。

筋トレで身体にかける負荷は重量と回数によって増減できますが、目的によってその負荷を調整する方向が異なってきます。原則的に最大筋力が目的なら重量を増やし、筋持久力が目的なら回数を増やします。

普通の人は(自宅に十分なウエイト・トレーニング用の設備がない人は)、自宅で重量負荷を増やしていくことは困難です。従って、自宅で筋トレを行うときは、筋持久力の向上をそのメインの目的にするべきだということになります。

自重筋トレで回数を増やす

軽い負荷で回数を増やしていくとなると、誰にも思いつくのは腕立て伏せ、クランチ、スクワットなどの自重を使った筋トレでしょう。

仮に今日は腕立て伏せを連続して10回できたとしたら、次回は11回、そのまた次は12回と徐々にその回数を増やしていくことによって、筋持久力を高めていくことができます。

その際にもっとも注意しなくてはいけないことは、回数を増やすためにフォームを妥協しないことです。

腕立て伏せの正しいフォームについては前回の記事で紹介しました。このフォームを厳格に守ったうえで、回数を増やしていかなくては、十分な効果は期待できません。

タバタ・タイマーで自重筋トレに時間の制限をかけてみる

100回、200回と腕立て伏せの回数を増やしていくのも1つの有効な方法ですが、難点は上達すればするほど、トレーニングにかかる時間が長くなることです。同じ動作を延々と続けることによる精神的な飽きも見逃せません。

そこで、あえて自重筋トレに時間に制限をかけることでより効率よく筋持久力を高めることができます。

今回そのために紹介するのは「タバタ」を用いた自重筋トレです。「タバタ」とは、20秒間の高強度運動と10秒間の休憩(または低強度の運動)を1セットとして8ラウンド行うインターバルトレーニングで、本来は心肺能力向上を目的としたプロトコルです。下で紹介するのはそれとは異なる目的で、タバタの時間形式のみを利用した邪道とも言えるやり方なのですが、短時間で効果を最大化できるというタバタのメリットは期待できます。

やり方は簡単です。腕立て伏せ(正しいフォームで!)を20秒間できる限り多く行い、その後10秒間の休憩を取ります。それを8ラウンド繰り返します。これだけです。

気をつけなくてはいけないのは、8ラウンド繰り返したうち、もっとも少ない回数がスコアになるということです。仮に1ラウンド目に20回こなしても、途中で力尽きて8ラウンド目が0回なら、スコアはゼロになります。それより、1ラウンド目から8ラウンド目までずっと1回だけを行った方がスコアは上になるということです。

これはやってみると分かりますが、1ラウンドから8ラウンドまで、同じ回数を持続するのは至難の業です。ぜひ試してみてください。全部で4分間しかかかりませんし、毎回スコアを伸ばす目標も立てやすいので、飽きがこないトレーニング方法です。

尚、この方法は自重スクワットやシットアップなど、どんなワークアウトでも利用することができます。

 

角谷剛(かくたに ごう)

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全1件のコメント

  1. 2020年8月16日 10:23

    […] ニーズ分析が重要であるもう1つの理由は、本「筋トレ101シリーズ」その6でも触れた「特異性の原理」です。すなわち、1つのトレーニングで期待できる効果は1つしかないというこ […]

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