自宅でできる、器具が要らない、この条件に当てはまる筋トレといえば腕立て伏せやスクワット、それにシットアップなどが頭に浮かびますが、今回は別系統のトレーニング方法として「プランク」について紹介したいと思います。

プランクとは何か?

プランクには何種類もバリエーションがありますが、もっとも代表的な姿勢はうつ伏せになった状態で両肘を床に着け、体重を前腕部とつま先で支える「ロー・プランク」です。他に、片肘を床に着け、体を横に向ける「サイド・プランク」、片足を床と平行になるように持ち上げる「片足プランク」などがあります。

どのバリエーションにも共通する、もっとも重要なポイントは、体軸を一直線の棒のように保つことです。腰や膝が折れ曲がるか、逆に背中が反り返るようであれば、その姿勢を正しくこなしたことにはなりません。

こうした正しい姿勢を一定時間保つことで、主に体幹部分の安定性を高めることがプランクの目的です。当然のことながら、姿勢を維持する時間は長ければ長いほどキツイわけですが、初心者はまず30秒ぐらいを目標にするとよいでしょう。

プランクはなぜ自宅向きなのか?

プランクを自宅トレとしてお勧めするにはいくつかの理由があります。まずは器具が要らないこと。文字通り、自分の体だけでトレーニングができます。広いスペースも要りません。何しろ、寝転がることができればいいのですから、「立って半畳、寝て一畳」の言葉からすると、畳一畳分のスペースでできるわけです。じっと同じ姿勢で動かないわけですから、床や壁に振動は起きませんし、音も立ちません。つまり、隣人に迷惑をかける心配はありません。力を入れるときに大声でうなるクセがある人を除けば、ですけど。ウォーミングアップが不要で、短時間で終わることもプランクが持つメリットの1つです。何種類かの姿勢を何セットかやるとしても、普通の人は最長でもせいぜい30分もあれば十分です。

プランクの効果を証明した研究

いくら手軽にできるといっても、プランクはあくまでも補助運動です。プランクの時間を競うようなスポーツはありませんので、他のスポーツに役に立つかどうかは重要なポイントです。長友佑都選手の著書がベストセラーになるくらい、体幹トレーニングの人気は高まっていますが、「プランクをして、体幹を鍛えて、それでスポーツパフォーマンスは上がるのか」となりますと、私はこんなによくなりました、という類の個人的な経験談ぐらいしかあまり見聞きすることがありません。

そこで、もう少しシステマティックにプランクとスポーツパフォーマンスについて研究した事例を2つ紹介します。

研究事例1.プランクをするとスポーツパフォーマンスは上がるか?

Effects of 8-week core training on core endurance and running economy.

Hung, KC et. al., 2019

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6407754/

研究内容:

大学運動部レベルのアスリートを21人集め、体幹トレーニングを行うグループ(CT, 11人)、行わないグループ(CON, 10人)に分けました。研究期間の8週間、どちらのグループも通常通りのトレーニングを続け、CTグループだけは週3回の体幹トレーニングを追加しました。

研究結果:

8週間後の運動能力測定で、CTグループはCONグループと比較して、バランス、持久力、そしてランニングエコノミーに顕著な向上が見られました。CTグループは安静時の心拍数も低くなっていて、それがランニング時のスタミナアップに繋がったと推測されています。

研究事例2.プランクの耐久力は他の運動能力を伸ばすか?

THE RELATIONSHIP BETWEEN TRUNK ENDURANCE PLANK TESTS AND ATHLETIC PERFORMANCE TESTS IN ADOLESCENT SOCCER PLAYERS

Imai, A., et. al., 2016

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5046965/

研究内容:

55人の少年サッカー選手たちに体幹の安定性を測定するテスト(ロープランクとサイド・プランクの合計タイム)を行い、その結果を、12分間走の到達距離を測定する「クーパーテスト」、一定間隔で20メートル走を繰り返す「Yo-Yoインターバル回復テスト」、アジリティ・テスト、30メートルダッシュ、垂直跳び、5段跳び、などの運動能力テストの結果を比較しました。

研究結果:

プランクの合計タイムと「Yo-Yoインターバル回復テスト」の数値には高い相関性が認められました。それよりやや低めながらも、「クーパーテスト」とも相関性がありました。さらにアジリティ・テストとも相関性が認められました。他の運動能力テストにはプランク・テストとの間にはっきりとして関連性は認められませんでした。

筆者の結論

上2つの研究を素直に読むと、2つの結論を導くことができます。

1.プランクを行うとある種のスポーツパフォーマンス(ランニングエコノミーなど)が向上する。

2.プランクが長くできるアスリートはランニング能力が高く、心肺機能も優れている。

 

角谷剛(かくたに ごう)

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