筋トレやフィットネスのコミュニティでは、よく「○○日連続XXチャレンジ」という言葉が飛び交います。例えば、「30日間連続100回腕立て伏せ」のように、○○には日数、XXにはエクササイズの名前が入ります。毎日毎日同じことをやるのは辛いものですが、期間を限ったり、仲間同士で声を掛け合ったりすることで、なんとかその「チャレンジ」を乗り切れることがあります。しかし、達成感や連帯感を別にすると、筋トレとしてはあまり有効な方法ではありません。

超回復理論

腕立て伏せでもスクワットでも、あらゆる筋トレは筋繊維を傷つける行為です。その為、筋トレを行った直後は、使った筋肉の能力が一旦は低下しています。ところが、人間の体は休むと回復しますので、傷ついた筋肉も休息の直後は筋トレ前よりも少しだけ強くなっています。このタイミングを逃さずに筋トレをすると、筋肉の能力はさらに向上します。これが「超回復」と呼ばれるもので、効果的な筋トレ方法とは、計画的に超回復を繰り返すことに他なりません。

そのためには、トレーニングと休息は必ずセットにして考えなくてはいけないのですが、上の「○○日連続XXチャレンジ」はその原則を無視しています。勢いで腕立て伏せを100回やるのは良いでしょう。しかし、翌日になって、まだ筋肉が十分に回復していない状態だったとしたら、また腕立て伏せを100回やってしまっては、ただ同じ筋肉をひたすら傷めつけているだけです。

だからこそ、筋トレにはある種のスケジュール計画が必要になります。要は筋トレを行う頻度と間隔を決めることなのですが、ここで注意しなくてはいけないのは、休まないのもいけないし、休み過ぎてもいけないということです。

筋肉によって異なる回復時間

一言で超回復期間と呼んでも、回復に要する時間は性別、年齢、トレーニング歴など個人による差は大きいですし、筋肉の部位によっても異なります。

あくまで一般的な目安としては、大きな筋肉(胸、背中、脚など)には48~72時間ほどの回復時間が必要で、小さな筋肉(腕、ふくらはぎ、腹筋など)は24時間ぐらいで回復します。

そのことを念頭に入れて、ボディビルダーやパワーリフターのような筋トレの専門家たちは様々な分割法をトレーニング計画に取り入れているわけです。分割法とは文字通り、身体を胸、背中、脚、肩、腕などの部位に分けて、一回のトレーニングで身体の一部だけを鍛えることです。ある部分を鍛えながら、ある部分を休ませ、大抵は1週間を1サイクルにして、全身を満遍なく鍛えます。

ジムでマッチョな人たちが「今日は何の日?」「広背筋とハムストリングス」なんて会話をしていたら、その人は今日デッドリフトとかロウイングとかをやるのだな、と考えてください。

自宅トレの分割法

筋トレ初心者も超回復を意識して、分割法を取り入れる必要があります。むしろ初心者だからこそ、回復には時間がかかりますので、より入念に計画されたスケジュールが必要だとも言えます。

自宅で行う筋トレの代表格である腕立て伏せやスクワット、それにシットアップを例にしてみましょう。

腕立て伏せで主に鍛えるのは大胸筋です。この筋肉の一般的な回復時間は48時間。と言うことは、腕立て伏せをしたら、丸2日は間隔を空ける、つまり隔日で行うのがもっとも適切だということになります。

スクワットで主に鍛える大腿四頭筋やハムストリングスは回復にもっとも時間がかかり、72時間と言われていますので、3日間の休息が必要になります。

シットアップやプランクなどで鍛えるのは主に腹筋群ですが、ここは24時間ほどで回復すると言われています。そのため、毎日行っても構いません。

自宅トレ1週間スケジュール例

  • 月:腕立て伏せ、シットアップ
  • 火:スクワット、シットアップ
  • 水:腕立て伏せ、シットアップ
  • 木:休み
  • 金:スクワット、シットアップ
  • 土:腕立て伏せ、シットアップ
  • 日:休み

*注意:トレーニングは毎日同じ時間に行うことを仮定しています。

上のスケジュールはあくまで1例です。前述しましたように、回復時間は人によって異なりますので、スケジュールも必ずしもこうでなければいけないというものではありません。別の言い方をするならば、筋トレの計画に絶対的な正解はありません。ただ、運動と休息を適切な間隔で繰り返すことは筋トレの基本的な考え方として覚えておくべきでしょう。

 

角谷剛(かくたに ごう)

コメント一覧

全1件のコメント

  1. 2020年8月2日 09:05

    […] としましょう。その筋肉への刺激が強くなるということは、つまり筋繊維をより傷つけてしまうということです(前回記事「筋トレ101 その8:超回復と分割法」を参照してください)。 […]

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