前回、前々回に続いて、「ダンベル」を切り口にして、筋トレの基本について説明したいと思います。ダンベルはとても汎用性の高いトレーニング器具です。そのことはジムに並んでいる他の器具と比較すれば、よく分かると思います。例えば、チェストプレス・マシーンはチェストプレス以外の使い方は考えられませんし、フリーウェイトのバーベルや鉄棒にしても、それを用いて行えるトレーニングの種類には構造上の限界があります。その点、ダンベルは両手でも片手でも持てますし、押すことも引くことも振り回すことも自由自在です。

従いまして、さあダンベルを使って筋トレを始めよう、と思い立ったときに、何をすればよいのか、何回すればよいのか、重さはどうすればよいのか、休息はどれだけ取るべきなのか、などなど、選択肢の組み合わせも膨大な数になります。もちろん、あなたに専属トレーナーがついていれば、最適な方法をアドバイスしてもらえるわけですが、またそれこそがトレーナーの存在意義でもあるわけなのですが、ここでは自宅などでひとり筋トレをしようと思う人を対象に考えていきます。

まずはニーズ分析:自分が何を必要としているか?

筋トレの計画を立てるときに、最初に行うべきなのは、自分が何を筋トレに求めているかを把握する、「ニーズ分析」です。筋トレを純粋な趣味やストレス解消を目的として行う人は別にして、大部分の人は、専門スポーツに役立てるための補強か、あるいはかっこいい体をつくるためか、それぞれ筋トレを行うことによって得たいと思っている目的があるはずです。

ニーズ分析は容易なことではありません。なぜなら、ある人にもっとも必要とされる運動能力は、その人が専門とするスポーツの特性、時にはポジションによっても異なるからです。しかし、ランナーに当てはめると、それは比較的理解しやすいと思います。短距離ランナーならスピードやパワーが競技力に直結しますし、長距離ランナーならそれは持久力になります。中距離ランナーならその両方をバランスよく鍛えるか、あるいは自分に不足しているものを鍛える必要があるでしょう。

ニーズ分析が重要であるもう1つの理由は、本「筋トレ101シリーズ」その6でも触れた「特異性の原理」です。すなわち、1つのトレーニングで期待できる効果は1つしかないということです。筋トレに費やすことができる時間と労力が限られる以上、何もかもと手を出すのではなく、目的に応じた計画を立てる必要があります。

筋トレ計画の立て方

ニーズ分析の結果に従って、具体的に筋トレの種目を選び、重量やセット数などの計画を立てていきます。下はダンベルを使った種目とトレーニング計画の1例です。

A)    最大筋力(パワー)を向上させるためには

  • 推奨する種目:ダンベル・フロントスクワット (https://www.youtube.com/watch?v=B86Zj72LwzA)
  • 重量: 最多で連続して6回ぐらいできる重さ(あるいは最大重量の85%程度)
  • セット内挙上回数: 6回以下
  • セット数:2~6セット
  • セット間休息:2~5分

B)    瞬発力(スピード)を向上させるためには

  • 推奨する種目:ダンベル・パワー・スナッチ  (https://www.youtube.com/watch?v=3mlhF3dptAo )
  • 重量: 1,2回だけできる重さ(あるいは最大重量の90~100%程度)
  • セット内挙上回数:1回
  • セット数:3~5セット
  • セット間休息:2~5分

C)    持久力を向上させるためには

  • 推奨する種目:ダンベル・オーバーヘッド・ウォーキング・ランジ (https://www.youtube.com/watch?v=J3DxelcaaMU )
  • 重量: 12回以上できる重さ(あるいは最大重量の65%以下
  • セット内挙上回数:12回以上
  • セット数:2~3セット
  • セット間休息:30秒以下

D)    筋肥大を目的とするならば

  • 推奨する種目:ダンベル・プレス (https://www.youtube.com/watch?v=AqzDJHxynwo )
  • 重量:6~12回程度できる重さ(あるいは最大重量の65~85%)
  • セット内挙上回数:6~12回
  • セット数:3~6セット
  • セット間休息:30~90秒

 

*注:各動作の動画リンクはすべてクロスフィット公式チャンネルより

まとめ

筋トレの効果を最大化するためには、適切な計画を立てることは欠くことができないステップです。そしてその計画の基になるのは、自分が何を必要としているかを把握するニーズ分析です。方向性を定めることができたら、動作の汎用性が高いダンベルは、どんなケースにもそれだけで対応することが可能な、大変に便利なトレーニング器具です。

 

 

角谷剛(かくたに ごう)

コメント一覧

全1件のコメント

  1. 2020年8月19日 07:39

    […] 関連記事:筋トレ101 その11:ダンベルで何を鍛えるか。種目やセット数の選び方 […]

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