たんぱく質(プロテイン)、クレアチンに続いて、今回はアミノ酸系サプリメントを取りあげます。

ジムのサプリメント売り場などで、”BCAA”, “EAA”, “HMB”とアルファベット頭文字の製品をよく目にすると思いますが、それらのことです。

そのアミノ酸系サプリメントの中でももっとも一般的だと思われるのがBCAAサプリメントです。

たんぱく質を構成する最小単位=アミノ酸

たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されています。

そのアミノ酸のうちの9種類が必須アミノ酸とされ、これらは体内で生成することができず、食事などで外部から摂取する必要があります。

BCAAとは、その必須アミノ酸のうち3つ(「バリン」、「ロイシン」、「イソロイシン」)で構成されているものです

ちなみにEAAは必須アミノ酸9種類すべてを配合したもので、HMBはBCAAの一つであるロイシンから生成された物質です。

つまり、アミノ酸系サプリメントとは 20種類のアミノ酸(特に必須アミノ酸)をいくつか選んで配合したものであって、その配合の割合や組み合わせによって、それぞれに異なった効能が期待されるものなのです。

サプリメントでアミノ酸を摂取する理由

アミノ酸がたんぱく質を構成する単位であるということを逆に言うならば、食事でたんぱく質を十分に摂取していれば、アミノ酸もそこに含まれているということです。

それではなぜ、わざわざアミノ酸をサプリメントとして食べ物とは別々に摂取するのかについては、大きく分けて2つの理由があります。

1)筋肉に直接働きかける

たんぱく質の役目は筋肉を促成することだけではありません。髪、皮膚、爪などの身体組織を作り、生命を維持する働きもします。

だからこそ、食事でたんぱく質を摂取することが大切なのですが、BCAAなどのアミノ酸は筋肉に直接運ばれ、主に筋肉づくりのために活用されます。

2)消化吸収が速い

肉や魚などのたんぱく質を含む食事をしても、それがすぐに筋肉作りに使われるわけではありません。食べ物の種類にもよりますが、体内に消化吸収されるまでには2~3時間程度はかかります。

その点、すでに最小単位のアミノ酸、それも筋肉に直接働きかける種類のアミノ酸に分解されたBCAAなどは、30分程度で消化吸収されると言われています。

従って、筋トレを行う前後にBCAAを摂取しておけば、筋肉作りに重要な時間帯を逃さずに、ピンポイントで筋肉に栄養を与えることができるのです。

BCAAの効果

筋肥大を促進する

BCAAの人気がある最大の理由はその筋肥大効果です。ある研究(*1) によれば、筋トレ後に5.6gのBCAAを摂取すると、プラセボ(偽薬)を摂取したグループと比較すると、たんぱく質の筋肉同化作用が平均して22%増加したとのことです。

筋肉の分解を防ぐ

長時間の有酸素運動をすると、筋肉量が減るという話があります。有酸素運動のエネルギー源には、まず筋肉にある糖質(グリコーゲン)が使われ、次いで脂肪が使われます。それが間に合わない場合、エネルギー不足に陥った体は筋肉を分解させ、エネルギーとして使用してしまうことがあるからです。

以上の理由から、ジョギングなどを忌避するパワー系アスリートは珍しくありません。

しかし、競技自体が長時間に及ぶスポーツでは、筋肉のパワーを発揮しながらも、筋肉量の減少は防ぎたいというパラドックスがあります。

すぐに筋肉のエネルギー源になるBCAAを運動まで(あるいは途中に)摂取しておくと、筋肉の分解を防ぐことができると言われています。

筋肉痛を軽減する

BCAAには運動後に起こる筋肉痛(遅発性筋肉痛)を軽減する効果があると言われています。

ある研究(*2)では、スクワットを行う前にBCAAを摂取したグループは、プラセボ(偽薬)を摂取したグループと比較すると、筋肉痛の度合いと疲労感が大幅に減少したことが報告されています。

集中力の低下を防ぐ

BCAA には精神的な作用もあるとされています。それは運動によって血中のBCAA濃度が低下すると、脳内にセロトニンというホルモンが多く分泌され、それが疲労感をもたらし、集中力を低下させると考えられていることによります。

そのため、あらかじめBCAAを摂取しておくと、当然ながら血中のBCAA濃度が保たれ、結果として集中力を維持できるようになるというわけです。

サッカーなど、試合時間が長いスポーツでは、BCAAを摂取することによって、選手たちの集中力の低下を防ぐ効果があるとする研究(*3)もあります。

まとめ

  • BCAAは3種類の必須アミノ酸から構成されています。これらは体内では生成できず、外部から摂取する必要があります。
  • BCAAには筋肥大促進、筋肉痛軽減、集中力維持などの効果があることが証明されています。
  • しかし、BCAAは本来なら普通の食事から摂取できる栄養素であり、必要以上のサプリメント摂取には効果はありません。

 

参照文献:

 

*1.

Branched-Chain Amino Acid Ingestion Stimulates Muscle Myofibrillar Protein Synthesis following Resistance Exercise in Humans.

Jackman S. et. al, 2017

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28638350/

 

*2.

Branched-chain amino acid supplementation before squat exercise and delayed-onset muscle soreness.

Shinomura Y. et. al., 2010

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20601741/

 

*3.

The effect of branched chain amino acids on psychomotor performance during treadmill exercise of changing intensity simulating a soccer game.

Wiśnik P. et. al., 2011

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22050133/

 

角谷剛(かくたに ごう)

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