
近年、「瞑想」や「マインドフルネス瞑想」という言葉をよく耳にします。企業研修やアスリートのメンタルトレーニングなど、あらゆる分野で取り入れられています。
瞑想とマインドフルネスの違い
瞑想
目を閉じて深く静かに思いをめぐらすこと。(デジタル大辞泉)
マインドフルネス瞑想
今この瞬間の自身の精神状態に深く意識を向けること。またそのために行われる瞑想。2010年代半ば頃からストレス軽減や集中力の向上に役立つ心的技法と見なされ、特に欧米の企業を中心に社員研修などに採り入れる動きがある。(デジタル大辞泉)
マインドフルネス瞑想の方は欧米の企業を中心に社員研修などに採り入れられているということで、健康法としての瞑想というのは正確にはマインドフルネスのことを指しています。
やり方・コツ
まず、座った状態で姿勢を正します。これにより、脳に送られる酸素の量が向上します。そして、呼吸をできる限りゆっくりにします。目安としては1分間に3~5回です。そして、頭の中を空っぽにします。過去や未来のことを考えず、自分の呼吸だけに意識を向けます。
瞑想の効果
マインドフルネス瞑想を行うメリットとしてはストレスを軽減させたり、記憶力・集中力を向上させたりする効果があります。これは、単なる精神的なものではなく、姿勢を正すことで脳への酸素の供給量を増やし、呼吸量を整えるという効果に対して具体的な根拠があります。
現代人は暇さえあればスマートフォンを触りますが、そうしている間は実は脳は休まっておらず、脳は常に疲労している状態にあります。この、何も考えないという時間を作ることで脳を休ませることができるとメンタリストDaigoさんもおっしゃっています。
以後、本記事ではマインドフルネス瞑想のことを「瞑想」と省略します。
論文から見る研究成果
瞑想には科学的根拠があるのか、一次資料にあたって調査してみました。
外部からの刺激の遮断
fMRIという脳画像研究を用いて、瞑想の訓練を受ける前と受けた後では苦痛な音に対しての感情的な変化に差があるのかを調査した研究があります。この研究では、苦痛な音に対しての感情的な変化は瞑想の訓練によって強化されるという結果が出ています。その他の研究でも、気分を乱しにくくなるといった結果が出ており、瞑想には外からの悪い刺激を遮断してくれる効果があということが結論づけられています。
競技精神的な強さも重要な役割を果たすのでそういう意味では瞑想は効果的だと言えます。とりわけ、落ち込んでいる状態の時など、精神的に不安定な時期は瞑想は取り入れた方が良さそうです。
免疫力の増加
インフルエンザワクチンを用いて免疫機能を比較する研究では、瞑想を取り入れたグループが抗体の増加力が高いという研究成果がありました。
海馬の機能向上-男女別の調査
これまでのほとんどの研究は男女間での相違に注目することがありませんでした。しかし、カルフォルニア大学、南カルフォルニア大学が行った研究では長年瞑想を行ってきた経験者とそうではないグループの男女それぞれ15人ずつを集めて検証し、結果としては、元々の脳のコントロール機能は男子の方がわずかに高い傾向にありましたが、男女両方とも海馬の機能が向上したという結果が得られています。
短期間での効果
瞑想に関する研究は比較的期間が長いものが多かったのですが、4日間の瞑想トレーニングでも身体的、精神的に効果が出たとのことです。
最後に
ここでご紹介した論文はごく一部にすぎませんが、瞑想は単なる精神的なものにとどまらず、脳の機能や免疫力など、遺伝子レベルで効果が実証されていることがお分かり頂けたのではないかと思います。
参考文献
https://journals.plos.org/plosone/article/file?id=10.1371/journal.pone.0001897&type=printable
https://link.springer.com/article/10.1207/s15324796abm3301_2
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2015.00186/full
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006322316000792
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1053810010000681
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