タバタ式トレーニングについて

タバタ式トレーニングは1996年に立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が発明したトレーニング方法です。タバタ式トレーニングは海外でも大きく取り上げられ、この研究を基に様々なトレーニングプログラムが開発されています。

テレビや雑誌など、様々なメディアで取り上げられることになりましたが、実際にはその理論を知っている人は少ないのではないでしょうか。

「ダイエットにおすすめのタバタ式トレーニング」などとしても取り上げられているのを見かけますが、タバタ式トレーニングの論文はダイエットに向けたものではありませんので、それらは間違った解釈です。

結論を先に言いますが、タバタ式トレーニングとは、

有酸素・無酸素の両方の能力をある程度のレベルまで高めてくれる、短時間高強度のインターバルトレーニング

です。

それでは、今回はタバタ式の発端となった、田端さんの論文を直接見ながらタバタ式トレーニングについて確認してみたいと思います。

論文サイト

田端さんの論文は国立情報学研究所の論文検索サイト「CiNii」で公開されており、そのURLがこちらです。これから執筆する内容は全てこちらの記事を参考にしています。

https://ci.nii.ac.jp/naid/110001917326

それでは論文の内容について見ていきます。

前提知識

最大酸素摂取量と最大酸素借

タバタ式トレーニングの論文を理解する上で、まず知っておく必要があるのが最大酸素摂取量と最大酸素借の意味です。

最大酸素摂取量とは、有酸素エネルギーの供給能力を図るための指標で、最大酸素借とは、無酸素エネルギーの供給能力を図るための指標です。つまり、最大酸素摂取量は長距離的な能力、最大酸素借は中距離的な能力を表します。

間欠的運動

間欠的運動とは、運動して、休んで、を繰り返す運動のことを言います。一般的に使われる言葉で置き換えると、「インターバルトレーニング」が一番近いと思います。

実験方法・結果

研究は12週間に渡る研究で、前半と後半で少し内容が変わっています。

期間

トータル:12週間

1~6週:エルゴメータ(自転車を漕ぐトレーニング器具)を使ったインターバルトレーニング

7~12週:エルゴメータのトレーニングを少し減らして下半身の筋力トレーニング(インターバルのような感じで)も行います。

1~6週目

エルゴメータを使ってインターバルトレーニングを行います。

強度の運動を20秒間行い、10秒の休憩を挟みながら、これを6~7回繰り返し、3分程で疲れ果てた状態にします。

運動時の強度は最大酸素摂取量の170%程度の強度です。

結果:

最大酸素摂取量、最大酸素借両方に効果が見られました。

※この、「最大酸素摂取量の170%」というのがどのくらいの強度なのかについては算出する方法はありますが、この実験からして、感覚的には

「20秒間の運動を10秒の休憩を挟みながら6~7回繰り返した時に疲れ果てるくらいの強度」

ということになります。

 

7週目以降

インターバルトレーニングの効果が薄くなってきた7週目以降、筋力量を増加させることを目的に下半身の筋トレを行なっています。この筋トレもインターバル形式で、スクワットとレッグカール12回ずつ、30秒の休憩で4セットというように、エルゴメータの時と同じような感じです。

結果:

最大酸素借は向上しましたが、最大酸素摂取量は効果が見られませんでした。

最大酸素摂取量増加の限界

本研究では、被験者がタバタ式トレーニングを取り入れた最初の6週間では最大酸素摂取量は大きく増加しましたが、6週間を過ぎるとトレーニング強度を増加させても最大酸素摂取量は増加しなかったとの結果が出ていましたね。

この結果から言えることは、タバタ式トレーニングはこれまでインターバルトレーニングを既に行ってきた人にはあまり効果が無いということです。実験では、被験者の能力が上がるのに合わせてインターバルトレーニングの強度を上げて行ったのにも関わらず、7週目以降効果が見られませんでした。

したがって、タバタ式トレーニングを増やせば増やすほど効果が出ると言うことはなく、むしろ、ある程度のレベルに達した人に対しては効果が薄いと指摘しています。

タバタ式トレーニングが一般人レベルでは効果があるからと言って、競技者の間でも積極的に取り入れられる動きがありますが、競技者レベルに合わせて強度を上げていけば良いというものではありません。

結論

一般的にタバタ式トレーニングを取り上げる際に、6週間目までの効果に着目されているのですが、この研究はそこでは終わっておらず、後半期の結果まで見る必要があります。

本論文の結果から分かるように、前半期のタバタ式トレーニングは、

有酸素・無酸素の両方の能力をある程度のレベルまで高めてくれる、短時間高強度のインターバルトレーニング

です。

また、後半期では

インターバルトレーニングである程度のレベルに達した人にウエイトトレーニングを課すと、中距離的な能力だけは伸ばせる

ということが証明されています。

 

タバタ式トレーニングは、ダイエットを目的としたものではなく、どんなレベルの人にも有効なトレーニングというものでもありません。

この論文を自分たちにどう活かしていけるのか

論文を踏まえて、タバタ式トレーニングのメリットを考えると、全員に当てはまるのは、「短時間で効果的な練習ができる」という点ではないでしょうか。

タバタトレーニングは強度が最大酸素摂取量の170%と、ものすごく高いですが、短時間の運動である程度まではパフォーマンスを向上させることができるということで、時間と練習効果に関してコストパフォーマンスの良さを発揮します。

ただ、論文にもあったように、ある程度のレベルになればトレーニング強度を上げていっても最大酸素摂取量は向上しなかった、という結果があったように、どんなレベルの人にもこれが有効的であるとは言えません。練習時間が十分に取れる人があえて取り入れるべき練習ではないと思います。

この論文の結果を受けて、筆者自身は、どうしても十分な練習時間が取れない時にはこういったタバタ式トレーニングを取り入れていこうと思っています。過去に、受験などで練習に当てられる時間が少なかった時があった時がありましたが、その時、強度の高いインターバルトレーニングを取り入れていて、短時間の練習で練習効果を感じられていたことを感じ取っていたので、短時間で追い込む練習のコストパフォーマンスの良さは何となく感じています。

そして、ある程度のレベルに達した長距離ランナーはあまり意識しなくていい内容だということも大きな発見でした。科学的に実証されているトレーニング方法だからと言って、すぐさま取り入れてみるのではなく、自ら再調査することで、自分にも当てはまるものかどうかを検証することが大事だと思います。

コメント一覧

全4件のコメント

  1. 2019年4月12日 22:33

    […] ※タバタ式トレーニングの論文研究につきましてはこちらで解説しています。 […]

  2. 2019年4月28日 23:07

    […] 以前にインターバルトレーニングの一種である、タバタ式トレーニングの論文をご紹介しましたが、研究成果としてある程度のレベルまでは最大酸素摂取量(VO2Max)の増加に大きく貢献す […]

  3. 2019年5月3日 10:49

    […] ※タバタ式トレーニングの論文研究につきましてはこちらで解説しています。 […]

  4. 2019年5月19日 19:02

    […] 以前にインターバルトレーニングの一種である、タバタ式トレーニングの論文をご紹介しましたが、研究成果としてある程度のレベルまでは最大酸素摂取量(VO2Max)の増加に大きく貢献す […]

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