
1996年にタバタ式トレーニングの論文が発表されて以来、その理論をもとにした数多くのHIIT(Hight Intensity Interval Training)プログラムが開発されてきました。
HIITプログラムの中にはダイエット効果をもたらすとアピールするものも多く見られますが、本来のタバタ式トレーニングの研究は短時間で高強度のトレーニングができるという効果を結論づけたものであり、ダイエット効果については着目していません。中には、タバタ式トレーニング自体がダイエット効果を結論づけた研究だという誤解もしばしば見られます。
※タバタ式トレーニングの論文研究につきましてはこちらで解説しています。
そこで、今回はタバタ式トレーニングとダイエット効果についての研究を調査することにしました。論点としては、なぜタバタ式トレーニングがダイエットプログラムと関連づけられるうになったのか、そうしたダイエットプログラムには科学的根拠があるのか、ということに着目しながら研究成果を見ていきたいと思います。
今回取り上げる論文はこちらになります。
「RELATIVE INTENSITY AND ENERGY EXPENDITURE OF A TABATA WORKOUT」
https://minds.wisconsin.edu/handle/1793/66159
なぜこの論文でタバタ式トレーニングが取り上げられているのか
健康を保つためには、一日30分以上、週5回以上の運動をしなければいけないと伝統的に言われている中、どの地域の人もなかなかその基準を満たす程の時間を確保するのが難しいそうです。このため、最小限の時間でいかにして効果的な運動を行えるか、ということが注目され、短時間でも効果の出るトレーニング方法として「タバタ式トレーニング」が取り上げられています。
また、これまでの研究で、同じ強度で続けるトレーニングよりも強弱をつけるインターバル的なトレーニングの方が効果が高いという結果が出ていることも紹介されています。
本論文の研究の目的
タバタ式トレーニングが短時間で有酸素・無酸素機能を向上させてくれるトレーニングであることを前提とした上で、タバタ式トレーニングの強度とエネルギー消費量に関する研究がそれほど多くないということなので、それを解明するための研究をすることになったそうです。
実験内容
被験者
20歳から47歳のトレーニングを積んでいる16人の被験者。
このトレーニングも比較的強度が高いので、それをこなせる体でないと実験が成り立たないためです。
実験で行うエクササイズ
1ラウンド4分(20秒の高強度のエクササイズ、10秒の休憩、x8回)
トータル20分。
20秒間の間は、それぞれのエクササイズを可能な限り続けます。
また、実験で行うエクササイズが表になっています。
20秒の高強度のエクササイズ、10秒の休憩で合計30秒のため、Minute1、つまり1分間の間では同じエクササイズを2回行うことになります。
なので、最初から見ていくと、
1回目:High Knee Run
2回目:High Knee Run
3回目:Plank Punch
4回目:Plank Punch
5回目:Junping Jacks
6回目:Junping Jacks
7回目:Side Skaters
8回目:Side Skaters
で1セット、つまりSegment1ということになります。
ただ、Segmentの間は長い休憩がある訳ではなく、心拍数を比較するために全体を4つに分けているだけなので、表に記載されているエクササイズを20分かけて一度で行っていく流れになります。
ダイエット効果に対する言及
20分という短い時間のエクササイズでASCM(アメリカスポーツ医学会)が推奨する心拍数やVO2、消費カロリーの基準を満たしたことから、HIITトレーニングが体重を減らすためのトレーニングとして、効率の良いトレーニングであると言っています。
本論文を読んだ感想
本論文の中では、「Tabata workouts」という言葉が用いられていますが、文脈からして、本来の論文のタバタ式トレーニングではなく、インターバル的なトレーニング全般のことを表しているようです。
そして、20分のトレーニングでASCMの基準を満たしたことから、ダイエットに効果的だと言っているのも根拠としては不十分な気がします。そもそも、実験内容を見て分かるように、この実験で行っているトレーニングも相当強度のもので、被験者も日頃からトレーニングを積んでいる人に限定しており、そんな高強度なトレーニングを20分も行ったらそこそこカロリーを消費するのは当たり前で、Tabataトレーニングは決して「楽にダイエットできる方法」ではないということは分かって頂きたいと思います。
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